教員の休職手当と傷病手当金!手取り計算・休職期間・復帰をFP解説
こんにちは。ミチプラスWORK運営者のたく先生です。
「激務で心身ともに限界だけど、休職したら給料や手取りはどうなってしまうんだろう」「傷病手当金はいくらもらえるの?生活していけるのかな」「診断書をもらってから休職、そして復職するまでの流れが分からなくて不安」と一人で悩んでいませんか。真面目で責任感の強い先生ほど、生徒や同僚への申し訳なさから限界を超えて耐え忍んでしまいがちです。
結論から言うと、公立学校教員には「病気休暇(90日間は給与100%全額支給)」+「病気休職(1年目は給与8割、2年目以降は共済の傷病手当金が非課税支給)」という、民間企業をはるかに上回る極めて手厚い身分・収入保障制度が用意されています。現役高校教員かつFP2級の視点から、休職手当の計算式、手取りシミュレーション、住民税・共済掛金の落とし穴、診断書の取得法、そして復帰手順まで徹底解説します。
教員の休職手当と給与保障の仕組み
公立学校教員の病気休業制度は、地方公務員法および公立学校共済組合の規定により、治療と療養に専念できるよう手厚く設計されています。まずは制度の全体像から理解していきましょう。
有給で休める病気休暇90日間の基本

教員が体調を崩して休養に入る際、最初に使用するのが特別休暇の一種である「病気休暇」です。
医師の診断書を提出することで、原則として連続90日間(約3ヶ月間)取得することができます。病気休暇の最大のメリットは「完全有給(給料・地域手当・扶養手当・教職調整額が100%満額支給)」である点です。「教員のボーナス解説」でも触れた通り、期末勤勉手当も除算されず満額支給されます。
「まずは90日間の病気休暇を使って心身を休め、回復すればそのまま現場へ復帰する」というのが初期の基本ステップとなります。なお、同一傷病で復帰後に再取得する場合は、一定期間(多くの自治体で90日〜6ヶ月)勤務しないと前後の日数が通算される「クーリング期間」のルールがある点には留意しておきましょう。
また、病気休暇中は年次有給休暇(年休)を消化する必要はありません。特別休暇として処理されるため、翌年度への年休繰り越し日数もそのまま保護されます。まずは有給の病気休暇をしっかりと活用し、心身の休養を最優先に確保してください。
最長3年続く病気休職制度の全体像

90日間の病気休暇を経ても症状が改善せず、引き続き療養が必要な場合は、地方公務員法第28条第2項第1号に基づく「病気休職(分限休職)」へと移行します。
公立教員の病気休職期間は「最長3年間」保障されています。休職期間中の収入源は、1年目と2年目以降で支給元が大きく変化します。
| 休業・休職の段階 | 期間の目安 | 支給元と給付割合 | 実質手取りの目安 (月給30万円モデル) |
|---|---|---|---|
| ① 病気休暇 (有給休暇) |
最長 90日間 | 自治体給与:100% 満額支給 (ボーナスも全額対象) |
約 240,000円 (普段と全く同額) |
| ② 休職 1年目 (有給休職期) |
1日目〜1年到達 | 自治体給与:給料等の 80% (ボーナス一部減額支給) |
約 180,000円 (普段の約75%) |
| ③ 休職 2年目 (無給・傷病手当金) |
1年超〜2年6ヶ月 | 公立共済:傷病手当金 約67% (全額非課税) |
約 145,000円 (掛金・住民税自己納付後) |
| ④ 休職 3年目 (傷病手当金付加金) |
最長 3年満了まで | 公立共済:付加金 約67〜80% (共済定款に基づく給付) |
約 155,000円 (前年所得減で住民税0円) |
表の通り、1年目は自治体から「給与の80%」が支給され、2年目以降は公立学校共済組合から非課税の「傷病手当金」が支給されるため、最長3年間にわたって途切れることなく生活費が保障される仕組みになっています。
1年目に支給される給料8割の支給条件

休職開始から満1年に達するまでの間は、各自治体の給与条例に基づき、給料月額・扶養手当・地域手当・住居手当等の「80%」が自治体から毎月振り込まれます。
「教員の給与明細の見方」でも解説した通り、1年目は給与所得として扱われるため、普段通り所得税・住民税・共済掛金が天引きされます。手取り額は普段の通常勤務時の約75%前後をキープできます。
なお、ボーナス(期末・勤勉手当)については、基準日(6/1・12/1)に在職していれば支給されますが、休職していた月数に応じて勤務除算されるため、満額時の約50〜80%程度に減額支給されます。
民間企業の場合、休職中は即座に無給となり傷病手当金(約67%)のみに移行するケースが大半ですが、公務員は「1年間まるまる自治体から給料の8割が支払われる」という圧倒的に恵まれた制度設計になっています。お金の心配を過度にすることなく、焦らずに療養へ専念できる大きな後ろ盾です。
2年目以降の傷病手当金と非課税の恩恵

休職が2年目(1年超)に入ると、自治体からの給与支給はストップ(0円の無給状態)となります。ここで大きな支えとなるのが、公立学校共済組合の「傷病手当金」です。
地方公務員等共済組合法に基づき、「標準報酬日額の3分の2(約66.7%)」が最長1年6ヶ月間にわたって支給されます。さらに共済独自の「傷病手当金付加金」が上乗せされ、実質的に標準報酬月額の約70〜80%相当がカバーされます。
所得税法に基づき、傷病手当金および付加金は全額「非課税」です。所得税や住民税が一切かからないため、額面が下がっても手取りの減少幅が小さく抑えられるのが非常に大きなメリットです。
傷病手当金の受給期間中も公立学校共済組合の組合員資格(健康保険・年金身分)はそのまま継続されます。「高額療養費と共済付加給付」でも解説した通り、通院やカウンセリングにかかる医療費についても共済の手厚い保障を受け続けることができます。
実際の振込額と手取りシミュレーション

30代教員(額面月給30万円、標準報酬月額30万円、独身)をモデルに、休職期間ごとのリアルな手取り額をFPの視点から試算しました。
・通常勤務時: 額面30.0万円 → 控除約6.1万円 → 手取り 約23.9万円
・病気休暇(90日): 額面30.0万円 → 控除約6.1万円 → 手取り 約23.9万円(普段と同額)
・休職1年目(給与8割): 額面24.0万円 → 控除約5.9万円 → 手取り 約18.1万円
・休職2年目(傷病手当金): 支給約20.0万円(非課税) → 掛金・住民税約5.5万円自己納付 → 手元実質 約14.5万円
・休職3年目(付加金): 支給約20.0万円(非課税) → 掛金約4.2万円自己納付(前年所得ゼロで住民税0円) → 手元実質 約15.8万円
2年目以降は手取りが月14万〜15万円台に減少するものの、一人暮らしや家族の生活を維持するには十分なセーフティネットが確保されています。
住民税納付書と共済掛金の支払い注意点

休職者が最もパニックに陥りやすい「キャッシュフローの最大の落とし穴」について警告します。
1. 共済組合掛金は免除されない: 産休・育休と異なり、病気休職中は健康保険・年金の掛金免除がありません。給与天引きができない無給期は、毎月約3万〜5万円を共済支部へ「直接口座振込」する必要があります。
2. 住民税の普通徴収納付書が届く: 住民税は「前年の所得」に対して課税されるため、2年目の無給期にも年4回(1回あたり数万円)の納付書が自宅に届きます。
「手当金が入金されても毎月約5万円以上の現金支出が発生する」ため、休職に入る前から生活防衛資金として最低でも3〜6ヶ月分の固定費(約50万〜100万円)を手元に残しておくことが極めて重要です。
教員の休職手当をもらい復帰を目指す手順
お金の不安を解消できたら、次は無理のないステップで診断書を取得し、療養と復職へ向けたプログラムを進めていきましょう。
心療内科の診断書取得と管理職への相談

不眠、動悸、涙が止まらない、朝起き上がれないといった症状が現れたら、我慢せずに心療内科や精神科を受診してください。
医師には「仕事のプレッシャーで心身が限界であり、学校へ行けない状態であること」を正直に伝え、「適応障害(または抑うつ状態)により、〇ヶ月間の自宅療養・休養を要する」という主文が入った診断書を発行してもらいます。
診断書が手に入ったら、教頭または校長へ電話やメールで連絡を入れ、「医師から休養の指示が出たため、診断書を提出して病気休暇に入らせてください」と事実ベースで伝えます。医師の診断書が出ている以上、管理職が休暇を拒否することは法的にできませんので安心してください。
面談で直接学校へ行くのが精神的につらい場合は、電話やメール、郵送での診断書提出でも手続きは可能です。無理をして学校へ出向く必要はありません。学年主任や教頭へ最低限の生徒情報や授業進度の所在メモをメールで共有したら、あとは学校からの連絡を遮断して休養に集中しましょう。
試し出勤とリハビリ勤務の復職ステップ

十分な休養と服薬により体調が回復してきたら、主治医の「復職可能診断書」をもとに、教育委員会の「復職支援プログラム(ならし勤務・リハビリ出勤)」を開始します。
一般的なリハビリ勤務のステップは以下の3段階です。
1. ステップ1(生活リズム回復期): 図書館や教育センターへ通い、午前中に読書や軽作業を行う。
2. ステップ2(学校での試し出勤): 週2〜3日、午前中のみ生徒のいない準備室で教材研究や事務作業を行う。
3. ステップ3(授業補助・段階復職): 放課後まで勤務時間を延ばし、TT(ティームティーチング)や副担任として少しずつ現場へ復帰する。
焦りは禁物です。産業医や管理職と相談しながら、数ヶ月単位でじっくりと体を慣らしていきましょう。
3年経過後の分限免職と退職金の受取額

「もし3年間の休職期間内に体調が戻らず、学校へ復帰できなかったらどうなるの?」という不安を持つ方もいるでしょう。
3年間の休職満了時に復職できない場合は、地方公務員法第28条に基づき「分限免職(または依願退職)」となります。これは懲戒免職(不祥事によるクビ)とは全く異なり、心身の故障による公務上の退職処分です。
「教員の退職金計算ルール」でも解説した通り、分限免職であっても退職手当(退職金)は全額受給権利があり、自己都合退職よりも優遇された算定率が適用されます。最悪の場合でも生活が破綻しないセーフティネットが法律で保障されています。
「休職期間が切れたら路頭に迷うのではないか」と恐れる必要はありません。勤続年数に応じた退職金を受け取り、心身を整えてから次のステップへ進むことができます。最悪のシナリオを知っておくことで、焦りを手放し、ゆとりを持って治療に専念できるようになります。
再発を防ぐ働き方と転職エージェント

文部科学省の調査によると、教員の精神疾患による休職者は年間7,000人を超えており、復帰後の再発率も約2〜3割に達しています。
復帰後は「担任を外してもらう」「校務分掌を軽減してもらう」「部活動顧問を免除してもらう」といった環境調整を必ず申し出てください。「教員の定時退勤仕事術」を実践して、決して無理をしないことが大切です。
もし「どうしても学校という環境が心身に合わない」「また同じ苦しみを味わいたくない」と感じたなら、「教員の転職エージェントおすすめ比較」で解説した通り、未経験から民間企業へ移るキャリアチェンジを選択肢に持っておくことが最大の心の保険になります。
教員の休職手当を活用して心身を守る結論

教員の休職手当と共済制度は、過酷な教育現場で戦う先生たちの命と尊厳を守るために存在する正当な権利です。
「休むことは悪」「同僚に迷惑がかかる」と思い詰める必要は一切ありません。制度とお金の仕組みを正しく知っていれば、生活費に怯えることなく安心して心身を休めることができます。
「教員をやめたい・辞めたい時の退職判断」でもお伝えしている通り、周囲への気遣いから自分を後回しにしてしまう先生ほど深く傷ついてしまいます。
あなたの命と健康以上に大切な仕事はこの世に絶対に存在しません。手厚い休職制度と共済保障にしっかりと守られながら、焦らず、ゆっくりと、自分自身の心と体を取り戻していってくださいね!
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