教員の年末調整の書き方完全ガイド!保険料控除や共済をFP解説
こんにちは。高校教員でFP2級のたく先生です。
毎年10月下旬から11月になると、学校の職員室や事務室から配られるのが「年末調整の申告書類」です。「毎年書いているけれど、生命保険料控除の計算がよくわからない」「教職員共済や明治安田の団体保険はどう貼ればいい?」「住宅ローン控除の2年目は何を出すの?」「夫婦ともに教員の場合は扶養をどう書くべき?」など、職員室でも多くの先生から質問が飛び交います。
年末調整は、毎月の給与やボーナスから概算で天引きされていた所得税を正しく再計算し、払いすぎた税金を合法的に手元に取り戻す教員最大のマネーイベントです。書類を正しく記入して提出するだけで、12月の給与で数万円から十数万円もの「年調還付金」が非課税で戻ってきます。今回はFP教員の視点から、書き方のコツと節税ポイントを完全解説します。
教員の年末調整の基本と申告書
公立・私立学校の教員の年末調整は、一般の民間企業と比べて提出期限が早いのが特徴です。まずは提出までのスケジュールと、手元に配られる3大申告書類の役割を整理しましょう。
年末調整の流れと提出する3大書類

教員の年末調整は、毎年10月中旬〜下旬に学校の事務室から書類(または自治体の電子申請ログイン案内)が配られ、11月10日前後の早い期日で提出を求められます。事務職員が書類点検を行った後、教育事務所や給与センターへ送付するため、民間企業よりも締切がタイトに設定されています。
全員に配布される主要な書類は以下の3点です。
① 扶養控除等申告書(マル扶):配偶者や16歳以上の扶養親族、障害者等の有無を申告
② 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書(マル基・配・調):本人および配偶者の所得見積額を記入
③ 保険料控除申告書(マル保):生命保険、地震保険、iDeCo、国民年金立替等を申告
扶養控除等申告書の書き方と年収計算
「給与所得者の扶養控除等申告書(マル扶)」は、税金の源泉徴収税額を決定する土台となる最も重要な書類です。教員自身の氏名・住所・生年月日を記入し、養っている家族の情報を記入します。
注意したいのが「所得の見積額」の計算です。教員の給与収入(年収)は、本給に加えて教職調整額(本給の4%)、地域手当、扶養手当、住居手当、期末勤勉手当(ボーナス)の合計額となります(非課税の通勤手当は除外)。そこから「給与所得控除」を差し引いた金額が「所得金額」となります。
・年収500万円の場合:給与所得控除144万円 ➔ 所得見積額 356万円
・年収600万円の場合:給与所得控除164万円 ➔ 所得見積額 436万円
・年収700万円の場合:給与所得控除180万円 ➔ 所得見積額 520万円
16歳未満(中学生以下)の子どもは所得税の扶養控除が0円ですが、住民税の非課税限度額を計算するために「住民税に関する事項」欄に必ず氏名・マイナンバー・生年月日を記入しましょう。
共働き教員が注意すべき扶養の重複
夫婦ともに教員(または公務員・会社員)の共働き世帯において、最も多いミスが「同一の子どもを夫婦双方の申告書に二重で扶養親族として記入してしまうこと」です。税法上の扶養控除は、子ども1人につき夫婦のどちらか一方しか適用できません。
FP教員としてのアドバイスは、「課税所得(年収・税率)が高い方の親の申告書に子ども(16歳以上)の扶養控除を付ける」ことです。所得税率が高い親側で控除を受けた方が、世帯全体での還付金額が大きくなります。

なお、給与の「教員の扶養手当」を受給している親と、年末調整で税金の「扶養控除」を受ける親が同一である必要はありませんが、混乱を防ぐため揃えておくのが実務上スムーズですよ。
保険料控除申告書の枠組みと上限額

「保険料控除申告書(マル保)」は、民間の生命保険や共済保険、地震保険に支払った保険料を申告して税金を安くする書類です。生命保険料控除には「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3つの枠があり、所得税で最大12万円(住民税で最大7万円)の所得控除が受けられます。
| 控除枠の区分 | 年間支払保険料の計算式(新制度) | 所得税控除上限 | 住民税控除上限 |
|---|---|---|---|
| 一般生命保険料 | 80,001円以上で一律40,000円 | 40,000円 | 28,000円 |
| 介護医療保険料 | 80,001円以上で一律40,000円 | 40,000円 | 28,000円 |
| 個人年金保険料 | 80,001円以上で一律40,000円 | 40,000円 | 28,000円 |
| 合計最高限度額 | 3枠合算(新旧合算調整あり) | 最大 120,000円 | 最大 70,000円 |
地震保険料控除は支払額の全額(最高50,000円)が控除されます。火災共済に付帯する地震特約部分も対象になりますので、証明書の記載金額を確認しましょう。
教職員共済や団体保険の証明書の貼付
教員現場で毎年迷いやすいのが、「教職員共済(レスキュードラフト・医療共済・年金共済)」や「明治安田生命・日本生命等の給与天引き団体保険」の扱いです。
自治体の給与システムによっては、給与天引きされている団体保険はデータ連携されて自動入力される場合がありますが、「10月に自宅へ郵送されてくる控除証明書ハガキ」の原本貼付が求められる自治体も多いです。学校事務室から配られるマニュアルの指示に従い、証明書原本を申告書の裏面や添付台紙にのり付けして提出しましょう。
・証明書は必ず「原本」を添付する(コピー不可、電子発行の場合は国税庁認定のQRコード付きPDF印刷)
・「申告額(12月までの年間払込見込み額)」を記入する(9月時点の発行証明額ではない)
・契約者名義が配偶者であっても、保険料を教員本人が支払っていれば控除申告可能
住宅ローン控除2年目以降の手続き
住宅を購入して住宅ローン控除を受けている教員は、2年目以降は年末調整で簡単に税金の還付を受けることができます(初年度のみ確定申告が必要)。
提出に必要な書類は以下の2点です。
① 税務署から送られてきた申告書原本:「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「証明書」(初年度確定申告後に年数分まとめて送付された用紙)
② 銀行から届く残高証明書原本:「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」(毎年10月に金融機関から郵送)
銀行の年末残高を申告書に転記し、控除額(残高×0.7%など)を計算して事務室へ提出します。住宅ローン控除は「税額控除」のため、所得税から直接数万〜数十万円が引かれ、12月の給与で高額な還付金が戻ってきます。
教員の年末調整で得する控除と注意点
基本的な申告書類に加えて、教員が見落としがちな「強力な節税控除」が存在します。知っているだけで数万円の手取りが増えるプロの技と、12月の還付金確認法を押さえましょう。
iDeCo掛金の申告で節税する方法
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している教員は、支払った掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除されます。
法改正により、公務員のiDeCo拠出限度額は月額2万円(年間最大24万円)に拡充されました。年間24万円を積み立てている教員(所得税・住民税率計20%〜30%)の場合、年末調整で申告するだけで年間約4.8万〜7.2万円もの税金が還付・減額されます。
・保険料控除申告書の右下「小規模企業共済等掛金控除」欄を見る
・「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」欄に年間の支払額を記入
・国民年金基金連合会から10月下旬に届く「払込証明書」原本を添付する
子どもの国民年金立替による控除活用
教員家庭で非常に効果的な節税テクニックが、「20歳になった大学生の子どもの国民年金保険料を親が立て替えて支払い、年末調整で社会保険料控除を受ける」方法です。
国税庁タックスアンサー No.1130に基づき、生計を一にする親族の国民年金保険料(年間約20万円)を教員本人が支払った場合、支払った全額を教員の「社会保険料控除」に上乗せできます。学生納付特例を使うよりも、税率の高い親が支払って控除を受けた方が、世帯全体で年間約4万〜6万円以上の確実な節税になります。
12月給与の還付金確認とチェック法
年末調整の手続きが完了すると、12月の給与明細で「年調還付金(過不足税額)」が精算されます。
給与明細の控除欄または支給欄に「年末調整」「年調精算額」「過不足税額」などの項目名で記載され、通常はプラスの金額(還付)として給与振込額に上乗せされます。生命保険料控除やiDeCo、住宅ローン控除を申請した方は、数万円〜20万円前後の還付金が正しく反映されているか必ず明細を確認しましょう。
医療費控除など確定申告が必要な例
年末調整は万能ではなく、「年末調整では手続きできず、年明け2〜3月に自分で確定申告しなければならないケース」が存在します。
① 医療費控除:家族全員の年間実質医療費が10万円(または総所得の5%)を超えた場合
② 住宅ローン控除の1年目(初年度):家を購入・入居した最初の年
③ ふるさと納税の確定申告:ワンストップ特例を出していない、または寄附先が6自治体以上ある場合
④ 副業・雑所得が20万円超:原稿料、模試採点、講演料、ブログ等の所得が20万円を超えた場合
⑤ 年の途中で退職・転職した教員:前職の源泉徴収票が年末調整に間に合わなかった場合
これらの控除がある場合は、年末調整を終えた後に発行される「源泉徴収票」を使って、翌年2月16日〜3月15日にスマホ(e-Tax)から確定申告を行いましょう。
教員の年末調整をマスターして家計を守る

今回は、教員の年末調整のスケジュールと提出書類、保険料控除の計算方法、共済やiDeCoの申告手順、そして還付金の確認法について完全解説しました。
年末調整は、教員が合法的に税金を取り戻せる最高の機会です。各種控除証明書を漏れなく揃え、期日までに正確に提出して、12月の還付金をしっかり確保しましょう。
「教員の扶養手当」や「教員のボーナス手取り計算」、そして「こどもNISA活用法」と合わせて、公務員ならではの制度をフル活用し、盤石な家計防衛を築いていきましょう!
